バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
グランカスカダの家 テレビコマーシャルの撮影依頼

 

滝に水を落として2年の時間が経ち、水の落ち方も美しい自然の
『向い落ち』の滝になってきたシッチェスのグランカスカダ

昨日は私の作品であるバルセロナ自治大の日本庭園を見た広告会社の人が、ぜひ水のある日本庭園をテレビコマーシャルに使いたいというので、シッチェスの『グランカスカダの家』まで案内した。

昨日は天気もよく晩夏の強い日差しがシッチェスに照りつけていた。
植栽も根付いてきたようでジャングルのように緑が茂っていた。
こんなモダンな建物の聳え立つ所に、本当に日本庭園が見れるのかなと不思議そうに私の後ろをついてきているのを感じた。

ブザーを押すと初めにお手伝いさんが出てきて、その後、暫くしてこの家主の奥様が現れる。地上3階、地下3階で床面積が2000屬鯆兇┐觜訶,覆里能个討るまでに時間がかかるのである。
最初半信半疑であった広告代理店の人が玄関ホールに入ると、手前の石庭越しに10mの高さを超えるグランカスカダが目に飛び込んできたのでびっくり仰天している。



右の平行四辺形状の角の尖った建物はカーサ2
左の半円形状の展望台の様な建物がカーサ1

原設計はボーイガス率いるバルセロナの誇る世界の建築家設計集団MBM。
以前ブログでも書いたが、最初の段階で下りてしまったのでその後を引き継ぎ、グランカスカダプロジェクトをメインに据え、大滝のある和風庭園に建物配するというアーキテクトビルダー方式で1からやり直すことになり、設計変更を繰り返しながら7年後にようやく完成した。

このプロジェクトが、スペインでの私の稀有な建築家人生を書き留めておこうという気持を起こさせ、5年前にブログ『Fallingwater グランカスケードの家1を書き始めるきっかけを与えてくれたのである。



東屋の床下をせせらぎが東西軸線上にある池に注ぐ。
睡蓮の池になっているが、飼っている金魚に餌さとして食べられてしまってだいぶ減ってしまったと夫人は嘆いていた。



シッチェスのゴルフ場を下に見下ろすリゾート地にある。正面にある白い建物は、豪華リゾートホテルで海のカテドラルのあるシッチェスの古い町並みと地中海を望む。建設し始めた2001年はほとんど建物が建っていない造成地であった。後から建て始めたホテル建設の関係者は、ここもホテルを建設しているものだと勘違いしていたほどで、先にオープンした。











化粧打ち放しコンクリートの上にさらに白の塗装をしている。
コンクリートの型枠痕と木デッキの目地の横ストライプのコントラストでデザインしている。
地中海の強い光には幾何学図形がよく似合う。
「最近の建築雑誌に載っているスタイリッシュな建築は、いろいろな所からコピペしてやっていることが、このような本物のオリジナルデザインの建築を見るとよく分かる。」と言ってもらえた。





平行四辺形のキャンティレバー張り出しテラス。
引張り斜め材が効いている。
ガラスに真っ青な地中海ブルーの水平線が映っている。

かなり気に入ったようなのでどの場所が撮影されるのか今から楽しみである。
テレビに出たらまたプログで紹介します。

| u1arc | グランカスカダ | 17:06 | comments(0) | trackbacks(0) | -
日本庭園建築の美−シッチェスのグランカスカダ−
 

もうそろそろ植栽が落ち着いてきて、いい写真が撮れるのではと思い昨日グランカスカダへ行ってきた。その時の写真。

一年も経つと、滝面に緑が少し付いてきて苔も生え石も古びた感じになってきて、人工的なものなのに自然に思えるのが不思議である。

本当に素晴らしい空間の中にいると幸せな気持ちになる。



メインアクセス、玄関部分。この階段部分は円周の直径の部分に当り、左は半円形、右はそれを一辺とする正三角形のプランとなっている。この直径軸が岩盤に当る所から、円周上のそこを起点としてグランカスカダは始まり、正三角形の重心から伸びる東西軸で終わる。円柱のある木デッキステップと階段は片持梁、水面上にある。玄関入口部の4分の1円の水場は奥のグランカスカダに繋がり導入部となっている。



半円形のサロン図書室から、メインアクセス、玄関部を望む。MBMの原設計では、この半円スペースは駐車場になっていたが、カーサ4に駐車スペースを持っていく事によりゴルフ場のグリーン、地中海のブルーの絶景を望むサロン図書室に変更となった。



サロン図書室から石庭を望む。奥の壁が半円形のサロン図書室のガラスを映していて現実にはない風景を創り出している。
鶴亀庭園をこのモダンな空間にレインタープレットしたものである。「ここに花がほしい」と言うクライアント夫人の要望を受け、手前は亀をイメージし薄くて丸い黒い石をモルタルで積み上げ植木鉢とし人の手で創ったもの。奥の石組みは鶴をイメージし、自然石を見立てたもの。



2階渡り廊下から見た三角ロビーエントランス部分の石庭。
実際は『大ガラス』のアルミサッシで内/外を分けているが、外部グランカスカダと内部の石庭がイメージの世界では仕切られることなく繋がっているようにデザインした。そうしたら予期せぬことにガラスに反射して瓢箪の形をした石庭が現れた。

まるで自分のイメージが天に通じたような不思議な出来事であった。
建築の設計においていかにコンセプトが重要であるかを今更ながら実感する。


水/石、白/黒、滝/海、鶴/亀、円/正三角形/正方形、人工/自然、花/草、天/地、鯉/龍、幾何学/自由曲線、正三角形の重心から伸びる東西軸線、陰/陽等々様々なイコンがこの庭にちりばめられている魔法の庭園である。この魔方陣が結界を作り、地上界とは隔絶した別世界を創り出しているかのようである。



この世のものとは思えない美しい空間である。




現実では外と内を分けているガラスのスクリーン。しかし、別の次元で繋がっている。




透明ガラスのデッキから見下ろした滝壺。鯉石を目指して落ちて行く滝。モヤイ像にも見えてくるから不思議だ。エクアドルの石工職人がアナコンダだと言っていたのも頷ける。
私のイメージとしては、鯉が龍となり天に昇って行くところ=龍門曝をレインタープレット(Re-interpreto)した。



ガラスのデッキ越しに滝の上部にある東屋カーサ5を望む。



東屋カーサ5の床下を流れ、東西軸線上の川に流れ込むせせらぎ。
毎年行っているピレネーの渓谷をイメージして石を組み上げた。
自然な良い風景として馴染んできている。



東屋内から見たせせらぎとテラスデッキ。クライアントの奥さんと話し今度はここで茶会をしましょうということになった。











東西軸の川。向こうに御影石の橋。秋分、春分の日にはこの川の向こうに夕日が沈む。
irokoの木の15メートルの電動可動壁扉。
扉を開けるとその向こうに広がる松林の森が借景となる。

立体式回遊庭園と呼べるようないろいろな地点からの風景を楽しめる。
このグランカスカダが主でその周りに配置した建物は従という関係が生まれ、滝空間の中に建築が点景としてあるという季節、時間の流れを感じさせる日本庭園特有の空間に仕上がったと思う。

これは2次元のレイヤーを重ねていけばできるようなものではない。やはり3次元としてモノとして力強く建ち上げるには、いろいろなポイントからフィードバックを繰り返しながら時間をかけて創り上げていくという、建築学的な本来の手法が有効であるように思われる。

クライアント=パトロン=ライバルとの10年近くにも及ぶ真剣勝負の協働作業がなかったらここまでくることはできなかったであろう。

このシッチェスのグランカスカダはエコ建築のプロトタイプとでも呼べる日本庭園建築をスペインにレインタープレットできたと思う。
エネルギー効率だけを考えたエコと言う考え方は建築の世界ではあくまでもベースに過ぎないのである。


この30日にバルセロナのユネスコの講演会では『日本庭園建築の美について』をテーマとした話をすることになっているが、安土桃山時代の国宝、如庵=ジョアンの茶室とスペインルネッサンスとの関係からこのシッチェスのグランカスカダの庭園についての説明をする予定である。

450年前に既にお互いの文化を共有していたので、スペイン人の人たちにもこの日本空間の美を解ってもらえることと思う。


| u1arc | グランカスカダ | 09:24 | comments(0) | - | -
グランカスカダついに完成!!!


日本から送った簾が届き、カーサ5=Mirador(眺望楼)に取り付ける。

これで、ついにシッチェスのグランカスカーダの家=CASA FALLINGWATER EN SITGESが完成した。

完成まで8年の歳月を要した。

ロトリングペンで書いた簡単な図面からこのプロジェクトは始ったが、まさかこれほどのプロジェクトに発展するなど当時予想もできなかった。

この間、ロトリングの手書きの図面からCADに変え、設計変更と工事が同時進行の時もあった。また、クライアントの意向で工事もストップすることもあった。また、インターネットの普及で世界中いつ、どこにいてもリアルタイムで図面のやり取りが可能となり、いわゆるグローバル化ということで世界的規模で建築設計業務そのものがドラスティクに変わっていった時期に当たる。建築設計のローテクとハイテクの間を目まぐるしく動き回っていたように思う。

このような時代でたびたびの危機を乗り越え、最後までやり通すことができたのは、自分の考えた建築デザインが建ちあがって行くいうレアル感が支えていたのだろうと思う。

それはガウディ同様、信仰にも近い建築そのものへの愛だったように思える。

このスペイン、バルセロナでのたぐい稀な建築経験を纏め、これから次世代の建築デザインへ活かして繋げて行こうと考えている。




御影石の石橋を渡り、3,4に配置した丸い川原石の敷石を歩き、眺望楼へ向う。



床の下に『せせらぎ』を通し、暑いスペインの夏を涼しく過ごす日本伝統のエコシステムを考えた。
また、この東屋の床下を抜けで出てくる『せせらぎ』、屋根勾配を少なくして軽やかに見せ、和風の風景を創る。

強い陽射しと西風、外からの視線を遮る為に、椰子の木、バナナなどの少し濃いめの植栽で『地中海式和風庭園』となった。




ゴルフ場のグリーン越しに見える地中海を望み、シッチェスの潮風の中で、滝の音、床下からのセセラギの音を聴きながら、この眺望楼でシエスタできたらなんと贅沢なことであろうか。

建築家とは夢を『レアル』化する職業である。
それがこのプロジェクトを通しての結論となった。
| u1arc | グランカスカダ | 12:00 | comments(0) | - | -
グランカスカダ 30 完成前夜
スペインもこのところの世界的な株価の大暴落で、今まで好景気が続きて来た建設業は大打撃を受け、特に建設労働者の解雇は社会問題化してきている。

グランカスカダの現場も例外ではない。コロンビア人、モロッコ人など10名ほどいた多国籍の職人も9月末でいなくなった。
その影響で植栽作業は少し遅れ、昨日シッチェスの現場へ行ってきた。造園業者の責任者はおじいさんの葬式で急遽来れなくなり、スペイン語を少ししか話せない2人の初めてのモロッコ人の作業員とのちょっと不安な協働作業となった。




グランカスカダの面に植え込むために、2ヶ月前に造園屋の植栽園から選んできたものである。選んだ植木は、夏の高温、乾燥にも強い物の中からを選んだので、種類は限られていた。その中でも、少し日本庭園を意識して、盆栽のような松とモミジを選んだ。モミジは、塩分が多いシッチェスの水には合わないと言われたが、専用の濾過装置を付けることで解決する。

どの植物を選んだが思い出すのに時間がかかったが、それぞれ写真に収め、グランカスカダ空間のどの場所にどの植木を植えるかはプリントアウトしておいた。そのイメージトレーニングのおかげで、すぐに全体像が掴めてきて、持ってきた植木を見定めて、その場でモロッコ人の作業員相手に指示を出すという出たとこ勝負の植え込みとなった。

とりあえず、持ってきたものの重要な木から場所を決め置いていってもらう。松とモミジがこのグランカスカダの最初からのポイントだったので、そこから始める。何とか最初の模型どおりの場所に植えることが出来そうだ。見え方も上のテラスからと下のホ−ルからの眺めでは違うので、両方の眺めを確認しながらスペイン語で慎重に何度も変更指示を出す。長い時間かかったが松の位置が決まると、多少苦労するがコミュニケーションが取れることが分かり、思った以上に仕事がはかどっていく。モロッコの作業員も最後まで丁寧にやってくれて、2日かかると思った仕事が一日で終わった。
想いは言語以上の言葉である。



手前は盆栽風の小さな松。しっかり岩に根を張ってグランカスカダのシンボルになってくれることを期待。足りない植木を再注文し来週には何とか完成しそうである。
これらの植栽が根付いて滝面を覆ってくれると、だんだんと自然に近い姿になって行ってくれるのだろう。後2年ぐらいしたら落ち着いてきて、さらに素晴らしい景観になると思うと楽しみである。

滝筋の真下に見えるのが鯉魚石。自然石なのに本当に鯉の顔に見えてくるから不思議である。
この松を目印に、龍になって天に向って昇って行ってくれることを願うばかりである。



クライアント夫人は、納得いくものを造りたいという強い想いと、このスローな自邸建設は日常化しているので、8年間の時間の経過は大して問題ではないようである。



もうすぐカーサ2からこのカーサ1のグランカスカダに住めるとたいへんご満悦であった。



大変難しいことであるが、夢は持ち続けていないと実現化しない。
夢をレアル(REAL)化するためには、クライアントも建築家も、とにかく最後まで諦めない強力なパワーを持続することであることを実感する。

真の夢を実現化して行くのがARQUITECTOの本来の役目であると思う。








| u1arc | グランカスカダ | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | -
完成間近 グランカスカダ −鯉魚石据え直しと植栽準備−
先週メルセーの祭りも終わり、バルセロナはかなり秋らしくなってきた。と同時に夏のバカンス気分が抜け、通常の仕事に戻ることになる。

シッチェスのグランカスカダの現場もようやく植栽が出来るようになり、8年の時間が経過しているが、だんだんと完成に近づいているのを実感する。

カーサ1の屋上からのシッチェスの街を遠く望む。絶景だ!
眼下にはにゴルフ場のグリーン、その右向こうには地中海の真っ青な水平線、左向こうにはシッチェスの街と中央には海の傍に建つ教会。



カーサ1の屋上




8年の間に多くの建物がこの造成地に建った。その中央部に建つ白いリゾートホテルは、後から建設が始まったが3年前にオープンしている。そのホテルの建設業者は、我々の現場もホテルを建てていると思っていたらしい。



滝面に掘られた穴に土を入れたところ。
眺望楼の最終的な位置決めを行う。



やはり最初に思ったように鯉魚石が低く水面上に出る部分が少ないので、下に大きめの石を置き、40cm程かさ上げすることにする。そして縁の角を落とし、そこに寝かせるようにする。クレーンで丸っこい大石を吊りながら、不整形の石の上に据えるというの大変難しい作業であったが、最初嫌がっていた職人も、この手の仕事に慣れてきてやればできるようになる。



建物内は養生のダンボールが外され、家具が設置された。西に傾いた太陽からの光が、ガラスのテラスの床から差し込み、建物内の石庭を照らす。

そのあまりの美しさに思わずシャッターを切る。



| u1arc | グランカスカダ | 20:26 | comments(0) | trackbacks(0) | -
夏のバカンス本番のシッチェス
8年に及ぶグランカスカダのプロジェクトがほぼ完成したので、今夏のバカンス真っ盛りのシッチェスの浜辺のホテルのテラスで軽めの食事を取る。



この風景の中で、グラスの生ビールを飲みながら充実感に浸る。

そのテラスからの写真。
中央椰子の木の向こうに見えるのが、シッチェスの海辺に建つ教会。この街のシンボルで、ポスター、絵葉書にもされるだけあって絵になる風景である。

これが現在のカーサ1



そしてカーサ2



地中海の真夏の強い光の下、植栽の緑で建築の幾何学的フォルムが引き立って美しくなってきた。

そろそろバルセロナの街も、夏のまったりとしたバカンスモードに入ってきたようだ。
| u1arc | グランカスカダ | 20:28 | comments(0) | trackbacks(0) | -
グランカスカダ最期の格闘 2                 『画龍点睛の鯉魚石』
『これが未来の龍頭』の鯉魚石。先日、テラサで見立てきた物だ。グランカスカダの最期を司るいわゆる画龍点睛と呼べるものである。いい面構えをしている。



しかし、クレーンを使ってここまで来るのに何度も暴れて落ち、手こずった大物である。中南米人の職人は、この手の仕事は初めてなので、丸い大石になかなか帯が架からず、うまく吊り上げられない。「アンカーを大石に打ち込んで持ち上げよう。」と言うが、「それでは石に傷が付くからダメ。」と言うと、「中国人のやり方には付いていけない。」とかなり神経質になってご機嫌斜めである。彼らにとっては、中国人も日本人も同じ人種で、訳が分からない時に、『あいつは中国語を話す。』と言う。その時に、この手の作業に少し慣れたモロッコ人の庭職人がこういう風に帯をかけたらどうかと助言をしてくれる。
とにかくやるしかない。今度は落ちることなく無事に滝壷まで下ろすことが出来た。やれやれである。

あまり経験を積んでいない職人との真剣勝負で、最期まで気が抜けない。



大石だと思って滝壺まで降ろしてみると、このグランカスカダには少しショートである。しかし、その大石は力持ちの職人4人がかりでもこれ以上は動かせない。水の落ち方を変えてでも、この石の先端の部分に水を落とすしかない。とにかく、降ろした位置に大石を設置することにする。

一回目のテストでは、滝筋が大石の先端中央から少し右にずれた。



また、大石先端中央の上の部分の滝面を少し彫り込む。そして今日の試験となった。



落下した水は鯉魚石の中央で綺麗に分かれて落ちた!
今にも瀧を登って天に行くかのような雄雄しい姿である。

全ての想いが込められたグランカスカダが完成した。


後は少し涼しくなる9月を待って、植栽とカーサ5の眺望楼を設置して、8年越しのグランカスカダの本当の完成を迎える。

植栽の緑とランの咲くグランがスカダの姿を想像すると、美しいだろうなと完成が待ち遠しい。



もうここまで来ると、いわゆる建築家の仕事を飛び越え、重力のある大地を相手にする『アースアーティスト』の仕事という感じである。

| u1arc | グランカスカダ | 09:31 | comments(0) | trackbacks(0) | -
グランカスカダプロジェクト最期の格闘 1            『この滝は大蛇アナコンダ』
この1週間、選んできた大石たちとの格闘であったが、何とかグランカスカダと建物内部の石庭が空間として統合され、収まってきたように思える。
中南米人の職人が、「この滝はアナコンダのようだ。」と言う。
「そう。、鯉が滝を登リきった所で龍になるという中国古来の伝説に基づいて創ったんだ。」と説明すると、
彼は、「そうか、なるほど。」と頷く。



昨日、滝の落ち方の試験を行ったが、2トン近くあるであろうと思われる鯉魚石に見立てた花崗岩の大石も、このグランカスカダには設置してみると少し背が低く、滝筋を調整するための工夫がさらに必要になった。

完成まで、後もう一息である。
| u1arc | グランカスカダ | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | -
グランカスカダを彫刻!


前回の滝落とし試験
では、その迫力に圧倒された。



2002年の第一期工事期にスタディした『向い落』の滝落ち。岩盤の状態がよくないので上の部分にL字にコンクリート基礎を打ち、その上に現在の古い大石を組み、せせらぎとする。大幅な工事変更を余儀なくされる。

今度は冷静に写真を検討し、『美しい滝の落ち方』をさらにスタディする。最初デザインした『向い落』のイメージに近づけるためには、左の主滝の3段あるはずの落ち方が真っ直ぐ過ぎて、2段目の溜めがもっと必要なことが分かった。
そのようにする為にはどこをどの様にしたらよいかを、水になりきり、その岩壁面を落ちていくシミュレーションを、自分の頭の中で繰り返していくうちに、これで何とか行けそうという感覚が掴めた。

これは大岩壁を彫り込んで美しい滝を彫刻する作業に等しく、『グランカスカダを彫刻するのだ!』という建築家というよりは体を張った彫刻家の心意気である。

また岩壁面に足場を組み、命綱で体を吊るし、削岩機で滝の道を彫り込む命がけ作業となった。(現場職人との共同作業である。)



この岩壁は硬い岩と赤土の混じる脆い層が織りなす複雑な地層をしていているので、それを読み込みながら少しずつ彫り込りこんで行くという難しいものであった。しかし、少し掘り込んで行くと下から固い岩盤が現れ、イメージ通りの滝の道が彫り込めるという感触が掴めた。それでも格闘すること2日、ようやくこれで何とか行けそうだという確信を持て、足場を外し、2度目の滝落とし試験となった。






大成功!!!

イメージ通りどこから眺めても美しい『向い落』の滝姿となった。
クライアント夫人、現場の人たちに”Felicidades!"と祝福を受ける。建設に参加した全ての人たちと一体となれる素晴らしい瞬間である。この充実感があるので『建築』は全身全霊を賭けるに値するということを思い出させてくれる。

この龍門曝の滝落ちの落下点の場所に、先日、鯉魚石に見立てた高さ2メートル近く、重さ2トンを超えるであろう古い御影石の大石を設置する。それと植栽で滝全体の形を整え完成するが、最後まで手が抜けない。

この自然を相手にした滝落彫刻は、8年間の思いがこもっている精神と肉体をかけた力技であった。そのおかげで週末の休みの日にはその心地よい疲労でほとんど一日中ベッドの中であった。

この年となるとリハビリも必要になってくるのである。
| u1arc | グランカスカダ | 10:43 | comments(0) | trackbacks(0) | -
滝上に建つ東屋、眺望台(casita de mirador)カーサ5
水不足で困っていたバルセロナも昨日から今日にかけて纏まった雨が降り、5月の恵みの雨となった。新緑が益々輝きを増してきた。
オリジナルの計画にあった滝上に建つ眺望台の東屋がようやく認められ、復活した。それをこれで最後のカーサ5と名付けよう。

滝上に建つ眺望台の東屋、カーサ5の模型



ここは目の前には滝とせせらぎの音を床下に聞きながらグランカスカダの家と地中海の眺望と融合した素晴らしい空間である。

カーサ5の設置場所。せせらぎが床の下を流れるように設置する。
ここからは地中海が眺望できる。



カーサ5の設置場所のスタディのモンタージュ写真1
東西軸川の流れからの眺め。



カーサ5の設置場所のスタディのモンタージュ写真2
玄関ホールからの眺め。



私はこの東屋、眺望台のカーサ5がこのグランがスカダの家の中で最高の空間であると思う。
| u1arc | グランカスカダ | 19:56 | comments(0) | trackbacks(0) | -
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< September 2017 >>

このページの先頭へ