バルセロナ建築漫遊記・未来へ

バルセロナから未来への気ままな発信です。
顔の形をした洞窟住居
 中国発展の象徴ともいえる上海万博が予定通り始まった。
中国館は安藤忠雄の92年セビリア万博の日本館に似ているというが、その当時、日本館は菊竹清訓の『出雲大社庁の舎』に似ていると言われていた。
万博のパビリオンは、国家の威信をかけたストレートな建築フォルムの表現=直訳が多いので似てきてしまうのかもしれない。

最近、21世紀のエコ建築<地中の棲家>ということで注目をされ始めた洞窟住居。
以前、ミッチーという失言の多い自民党の政治家が「中国人はまだ洞窟に住んでいる遅れている国だ。」というようなことを言ってかなりヒンシュクをかったことがあった。

スペイン、ナバラ地方にはこのような顔の形に似た可愛い洞窟住居がある。


山下和正の『顔の家』という住宅があったが、家と顔のアナロジーは無理のない自然なアイディアで、それがストレートに建築デザイン化されたのだ。

それに対し、これは自然発生的に生まれた『建築家なしの建築』といった感じであるが、それを前庭を少しデザインしてテラスハウス形式にして21世紀の住まいにしている。





岩盤を掘り抜いた寝室。
エアコン無しで、夏涼しく、冬も暖かい快適な住居であるという。
女の子が楽しげにベッドの上で飛び跳ねている。



岩盤を掘り残して壁+飾り棚になっている。

21世紀のエコ住宅<地下の棲家>としての洞窟住居の可能性をここに見出した。



| U1 | エコ建築 | 11:34 | comments(0) | trackbacks(0) | -
エコ建築の原点―グラナダのサクロモンテの丘の洞窟住居―
 グラナダのサクロモンテの丘にはジプシーが住み付き、そこにはフラメンコを見せる有名な洞窟のタブラオ(Venta el Gallo)がある。





クエバス デ アルテ(芸術の洞窟Cuevas de Arte)の標識が壁に埋め込まれてある。
ジプシーの生活そのものがアートである様だ。



洞窟住居博物館として公開している。西側斜面に洞窟住居は造られている。
それは夏の強い太陽の陽射しを遮り、西日で多くの光を洞窟内に入れ込む為だと思われる。
住居寝室、居間と台所、貯蔵庫それぞれ独立して横穴が掘られている。その他にかご、陶芸、タピス、鍛冶の工房がそれぞれ造ってあり芸術村といった感じである。
床はレンガを敷き、壁は白漆喰で塗ってある。





陶芸工房。奥に見えるのは足で回すロクロ。



アルハンブラ宮殿を見ながらギターを弾く男の鉄細工の彫刻。



アートギャラリー。壁にかかっている絵は窓から見えるアルハンブラの風景。



左の丘はアルハンブラ宮殿。右はサクロモンテの丘。
奥に見えるのがグラナダの街の中心部でフェルナンド・イザベルカトリック両王が眠るカテドラルが見える。

1492年アルハンブラが落城し、イベリア半島からイスラム勢力が一掃されレコンキスタが終了した。その後、メスキータの上にはカテドラルは建てられ、アルハンブラ宮殿には、クサビの如く中央に正方形+円+八角形=カルロス5世宮(カルロス1世兼カール5世神聖ローマ皇帝)が打ち込まれた様に建てられた。

調べてみるとカテドラルとカルロス5世宮はちょうど東西の軸線上にあり、ルネサンスの魔術を用いて、孫のカルロスが祖父母の偉業を神の行為として讃える為に行ったように思われる。

つまりヌエバ エルサレム(新しい聖都)をここグラナダの地に築いたのである。



それに対し、洞窟住居は太陽の運行、地形を自然環境を考えた、夏涼しく快適に過ごせるエコ建築の原点である。

21世紀の住宅は洞窟住居のアイディアを取り入れたエコ建築が必要になってくるかもしれない。
| U1 | エコ建築 | 03:13 | comments(0) | trackbacks(0) | -
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