バルセロナ建築漫遊記・未来へ

バルセロナから未来への気ままな発信です。
バルセロナの街頭での熱い建築文化遺産保存抗議デモ初体験
今日11月1日はスペインは全聖人(todo los Santos)の休日

時代のせいか今年は特に墓参りする人が多く、お昼のニュースによると不況の中でも花がよく売れたようだ。
この日一日でお花屋さんの年間売り上げの20%にもなるという。
la ultima casa(最後の家=お墓)の関心が高まって、バルセロナの墓地でのクラシックミニコンサートなど人間の死を前向きに捉えようとするようになってきた。



今年の2つ目の夏の出来事をこのプログで紹介しようと思う。

ここはAv. Tibidabo駅上がった所にあるJ.F.Kenedy広場。
ここが先回紹介したTibidabo山への玄関となり、レトロな市電の発着駅となっている。
屋外カフェテラス、バーゴラ、舗装タイル、街灯でお洒落モダンにデザインされている。
正面のカラフルなモザイクタイルが貼られた円筒形の上に冠を被ったモデルニスモの建物が今回保存運動の対象になっている”LA ROTONDA"。

バルセロナの市の文化財保護リストに載っていて、元バルサ会長のニェネス氏経営のバルセロナのデベロッパー不動産会社によって現在、大規模改築プロジェクトが進行中である。その改築計画が角のファサード部分だけを残すという、改築というよりは新築に近いので(下の模型写真参照)、建築全体保存を求めるNPO法人組織”LA LOTONDA友の会”がそのプロジェクトの反対運動を展開している。

7月のバカンスシーズンに入ってしばらくした7月16日、この時期を狙って無許可で建物解体工事が始まった。
その強引な文化財破壊から守る為に、5日後の21日に緊急反対集会がこのJ.F.Kenedy広場で行われることになったのである。

当日はバカンス真っ最中にもかかわらず、たくさんの市民が集まった。
我々SOS.MONUMENTSのメンバーにもメールで招集がかかり参加することになった。





主催者が用意した大改築プロジェクト反対のカタラン語によるプラカード。




SOS.MONUMENTS の呼びかけに応じ続々と応援に集まってきたメンバー。



プラカードを掲げる保存運動に賛同する地元住民。



保存運動に賛同しIDカードを提示して署名するたくさんのバルセロナ市民たち。



カタルーニャTV3にインタビューを受ける"LA ROTONDA" 保存運動の主要メンバー。

SOS.MONUMENTSの創始者サルバドール・タラゴ。
お手製の『salvem LA ROTONDA!(LA ROTONDA
を救え!)』のプラカードを持ち参加。
建築文化遺産保存に命を燃やしてきた。
特にこの日の先生は顔が生き生きしている。

この保存運動のカタラン語のスローガンを教えてくれる。
1.No volem aquest nyap, salvem la Rotonda
(こんな不出来なプロジェクトいらない、 la Rtondaを救え!)

2.Salvem la Rotonda de l'especulacio
 (投機対象のla Rotondaを救え!)

3.Nuñez dimini, respecta el patrimoni
(ニュネスは悪魔だ、文化財を尊重しろ!)

とこのスローガンをシュプレヒコール用に抑揚を付けて叫ぶのである。







幹線道路を遮断し、横断幕を掲げ気勢を上げるモデルニスモ建築保存運動のデモ。



モデルニスモ建築の華”LA ROTONDA"の保存のマニフェストを読み上げるサルバドール・タラゴUPC建築学部教授とバルセロナ大学の美術史教授等。

この日、夢中になって自然とカタラン語のシュプレヒコールを叫んでモデルニスモ建築保存を訴えている自分がいた。
デモの後、地元のテレビ局からの取材を受け、この建築の重要性を説明した。
なぜか地元住民のカタラン人と混じって日本人が参加していたのが珍しかったのだろう。

バルセロナの街頭での熱い建築文化遺産保存抗議デモ初体験であったのです。
人がたくさん集まって何かするということは興奮するものなのですね。
それが世の中を変えていくということを実感しました。

このデモから間もなくしてニュネス氏は公文書偽造容疑で逮捕された。
バルセロナの住民、市民パワーは偉大なり。

この夏のバルセロナでの建築文化遺産保存運動実践の記録である。
日本の建築の偉い先生方もバルセロナの文化財保存運動スタイルを見習ったらどうでしょう。



| U1 | 建築文化遺産保存 | 15:02 | comments(1) | trackbacks(0) | -
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