バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
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ルドゥーからコルビュジェへ  ―ラ・トゥーレット修道院―
今日9月11日はカタルーニャの祭日『DIADAである。
バルセロナのTI事務所での一年間の建築実習を終え、息子がイギリスのレスターの大学へ戻って行くのを空港まで見送った。

この間事務所での仕事もさることながら、世界中いろいろな所から来ている若い優秀な建築家たちと知り会い、建築と真剣に向かい合うことができ充実した時を過ごしたようである。彼の場合、日本語、スペイン語、カタラン語、英語とネイティブの人たちと自由に溶け込めるのが羨ましい。

先週はイギリスに戻る前に「ルドゥーの製塩工場をもう一度見たい。」という彼の要望でフランス建築見学旅行を計画し、4千キロの道を走って来たところである。

 バルセロナから途中キュービズム発祥の地であるセレット村に立ち寄りピレネーの山で一泊し、次の日ナルボンヌからモンペリエまで地中海岸を通り、それから太陽高速(Autoroute du Soleil)でひたすら北上しリヨンの町で降りる。リヨンはフランス中央に位置する大都会である。そこから郊外にあるラ・トゥーレットの修道院を目指すが、カーナビ無しのグーグルの地図だけがたよりの車旅である。30年前以上前の学生時代に行った建築見学ツアーであったら寝てる間に目的地まで連れて行ってもらえたが、自分で調べて行くとなるといかに難しいところであったかがわかる。散々迷った挙句、親切なフランス人ファミリーに慣れないフランス語で道を聞き、夕方近くになって、やっと到着できた。建築見学旅行は家族旅行としては少々過酷なものである。今回はベルとランはブリーダーの家、カン・コイに預け、マツも同行することになった。

 小高い丘の牧草地の斜面に建つ鉄筋コンクリート打ち放しの修道院が現れた。東側ファサードは足場が組まれ、網がかけられ改修中であった。そういえば、32年前に来たときはコンクリート打ち放しの施工が悪く、あまりこの建物を好きになれなかったことが記憶に残っている。竣工から50年経ち、コンクリ−トの痛みが激しく修道院として機能していないらしい。

改修工事計画の看板が出ていいる。



それによると、第8フェーズの南と東のファサードの改修工事とある。この工事だけでかかる金額は42万ユーロ(約6億円)、国と州政府が半分ずつ負担している。これで一連の改修工事が終わりそうで、来年は世界文化遺産として正式に登録してもらえそうである。



前に来たときは、施工の悪さが気になりとてもこの建築を鑑賞するという気にはならなかったが、今回はコルビュジェの計画コンセプトを知ることができ、また近代建築が彫刻、巨大オブジェとしてアートになっていることが確認できた。

この作品はロンシャン教会同様、建築空間が音楽まで高められている。











シトー派ロマネスク修道院の幾何学の原理でデザインされた石積みの重厚な回廊を、コルビュジェの発明した黄金尺『モデュロール』を用い、クセナキスとのコラボで軽やかにピロティの空中回廊をコンクリートという近代材料で見事に現代にインタープレットしている。

今回の改修工事によって、今では当時の施工の悪さが逆にコンクリートの質感にいい味を出していて、歴史的近代建築の風格さえ感じる。

今回の旅で“La Tourette"修道院が、コルビュジェとクセナキスがセッションを組み、ジャズっている素晴らしい建築作品であることが分かり楽しめた。

これからルドゥーの製塩工場を目指し、さらに北上する。
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