バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
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息子の卒業式とレスター大学エンジニアリング学部
 先日、イギリス、レスターの大学の卒業式へ行ってきた。
イギリスは4年ぶりだったので、ついでに一週間のバカンスを取り、ロンドン、ケンブリッジと建築を見て回った。

バルセロナからレスターへはイージージェットでミッドランド空港が近いのであるが、現在は使われていないという。迷った末に今回はロンドンのルートン空港ではなくヨークよりのロビンフッド・ドンカスター空港という小さな地方空港にした。一緒にレンタカーも自分の乗っている車と同じ車種のルノーを予約した。
12年前にスペインからユーロトンネルをくぐってきた時は、左ハンドルで左側通行のイギリスになり日本での運転との習慣が混乱し、最後は湖水地方の田舎道を右折した所で事故に繋がった。
なので、それ以降はイギリスの現地でレンタカーを借り、日本で乗っていた時と同じように右ハンドルの車に乗ることにしている。

夜の11時にドンカスター空港に着き、レンタカーのカウンターへ行くと予約していたルノーではなく最新型のフォードの車しかないと言われる。車を変えたいのであれば近くの町の営業所へ明日の午前中に変えに来いという。仕方なく20キロ程離れた今夜泊まるホテルへはその車で向かうことにする。
勝手の違う新型のフォードには四苦八苦したが、何とか車を動かすことができ、真夜中の地方空港の駐車場から出すことに成功する。しかし、運転することに手一杯でイギリス特有の交差点のサークルで回されてしまうと方向感覚を失ってしまい、なれない町名の表示を見るので精一杯である。おまけに真っ暗の夜中である。ナビもない。何度同じ交差点のサークルをグルグル回ったことか。2時間ぐらい探し回って諦めかけていたところ、前日グーグルマップで確認しておいたホテルの建物が突然、暗闇の中から現れた。
次の日は、道に迷うことなくレスターの彼の下宿に着くことができた。

今の世の中、なんでもグーグルがないとやっていけないことを実感する。





卒業式当日、パイプオルガンの鳴り響く中、学長、プロフェッサー達が中世の衣装を身に纏い、伝統色の強いセレモニーは行われた。
さすが格式を重んじるイギリスの卒業式という感じである。



1913年に建造されたデモンフォ−ルト(De Montfort)ホール。
大屋根破風のローマのバシリカ建築風でクラシックである。
12世紀から南フランスの十字軍騎士であったデモンフォールト家がレスター伯爵となり、レスターの都市国家を造り治めたので、市民ホールとしてこの名を冠したとのことである。

祖父母を含めた大ファミリーで,息子,孫の晴れ姿を見ようと出席しているイギリス人父兄(元植民地であったインド、パキスタンのアジア系ののファミリーもiいる)参加で、より儀式としての重みを意識せざるをえない。まだ階級社会の強い意識がこういうイギリスの文化を支えているように思える。

その中に、自分の息子の晴れがましい姿を確認できた時、親としての想いというのが込み上げて来るのは自然のことである。
筑波での懐妊、バルセロナでの出生、子育てと25年の年月を思い、親としての一応の責任は果たせたと思う瞬間でもあった。

それが社会、文化を支えるベースになっていることをここに来て実感できた。




今回のレスター再訪問で,モダン建築の名作でニューブルータリズムといわれるジェームズ・スターリングのレスター大学エンジニアリング学部(1959−64)の建物を改めて見る。

伊東豊雄さんも若かりし頃、レスターへこのスターリングの建物を見に行ったと伺った。コーリン・ロウの著書"The Mathematics of the Ideal Villa and Other Essays" の『マニエリズムと近代建築』という翻訳本を出しているのでスターリングに当時かなり傾倒していたと思われる。ロウはスターリングのリバプール大学の恩師で、年齢差が6才上の兄貴分的建築思想的支柱であったと言われている。





上の写真は1895年に建てられたレスター駅舎。
外観はルネッサンス風様式でレンガと石の積み方は東京駅を思わせるが、内部は今では廃れてしまったリベット鋲打の鉄骨のトラス梁で20m程飛ばしたガラス屋根で透明感のあるモダンで明るい空間である。

伊東さんはこの駅舎に降り立った時、『まるでスターリングの建築そのもの』と感じたという。

ガラスの使用により近代建築の透明性が言われるようになり、Literal(本来的な)ものとPhenomenal(現象的な)ものという概念を、ロウが論じモダン建築の重要概念として提示されたが、今思うと日本で本当に理解できていたのは実は翻訳者の伊東さん本人だけだったのかもしれない。
レンガ、石の伝統的建築素材に、鉄、コンクリートの近代的素材を使った当時の進化系ハイテック建築で、これがイギリスの正統建築の流れになって、現在のノーマン・フォスター、ロジャーズに繋がってきているように思える。
イギリスの伝統的レンガ・石積造建築をRe-interpretした進化系であったことを深い認識でその時既に直感的に見破っていたのであろう。
 
さすがに産業革命からアーツアンドクラフツの芸術復興を経てきたイギリスの本物(Real)のモダン建築は歴史(History)とモダン建築のTheory(理論) and Practice(実践)の必要性を実感した。



| u1arc | - | 14:03 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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