バルセロナ建築漫遊記

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コルビュジェの近代建築を世界遺産にするフランスの文化力    『教育・文化としての建築=アーキテクチャー』

 

地中海からの西日を浴びる彫刻的なマルセイユのユニテの屋上

モデュロールの幾何学的な黄金比率から割り出された直線的なこの建築で、唯一有機的曲線で造形的にデザインされている換気塔。
ガウディのカサミラをコルビュジェが近代建築としてRe-interpretしたかのように思える。

マルセイユのユニテはバルセロナのカサミラへの
コルビュジェからガウディへのオマージュ=賛歌として




可愛くモザイクタイルを貼った託児所の外壁と有機的曲線の換気塔の間から黄昏時の地中海を望む。



モデュロール(黄金尺)の概念を表現したエレベーターコア
聖櫃の如く据えられた『尺度の碑』
建築の一本一本の全ての線には根拠があることを言わんとしているかのよう

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先々回のブログでこのコルビュジェの計画+デザインしたマルセイユのアパートが『モデュロール(黄金尺)』を使って創られていることを書いた。

そうしたらこの『モデュロール(黄金尺)』を使えば、誰でもコルビュジェのような芸術的な建築ができるのではと考えても、そうならないのが建築をデザインすることの難しさである。コルビュジェが言うように『モデュロール(黄金尺)』はあくまでもピアノのおける鍵盤に過ぎず、どう演奏するかは演奏者の力量にかかっているのである。

最大の傑作とされるロンシャン教会もベースは『モデュロール(黄金尺)』であるが、最後はコルビュジェの造形力であの形が生み出されたのである。

20世紀のモダン建築はコルビュジェをお手本としてきたといっても過言ではないと思う。



このモデュロールは抽象的な比例と尺度だけでなく、近代工業化した建築生産の標準化、合理化した建築工法まで建築に関わる全てを考えているところがコルビュジェのすごいところである。

マルセイユのユニテでは住居単位として中廊下にメゾネットタイプの住戸を組子細工のように両側から入れ込む=『スケルトン イン フィル』というイメージで計画された。

最初に鉄筋コンクリートの大きな構造体(巨大なピロティの柱に支えられた床を底スラブとし3階の高さごとに柱で床スラブを立ち上げて行く多層ドミノ工法とも呼べるようなコルビュジェ独自のユニークな建築工法である。)を造ってから、最初の計画では住戸単位を鉄骨でフレームで造り『スケルトン イン フィル』というイメージで、外側から差し込みたいと考えたようであるが、現実的には419cmスパンの鉄筋コンクリートの梁に現場で鉄骨の小梁をわたして床を支えている。
たぶん、予算、当時の技術水準を考えた工法など現実的には『スケルトン イン フィル』は合理的ではなく、不可能で諦めたと思われる。

そのコルビュジェの諦めた『スケルトン イン フィル』の工法を21世紀の現在は可能だよと教えてくれているのが、マルセイユの住居単位=ユニテの再建築教育プログラムである。
ここでは『住居単位』の進化系として重量鉄骨でスケルトンが組み上げられている。

日本で行われたコルビュジェ展に先立ち、3年前パリの建築博物館シャイヨ宮で行われていたと今になって土居さんのブログで知った。

原寸大の住居単位が復元+再建築が21世紀のフランスの高校の教育プログラムとして2001年から2007年にかけて行われていた国家的プロジェクトだったことが、サンジョルディの日に妻からプレゼントしてもらった本『ECHELLE LE CORBUSIER(コルビュジェの尺度)』に詳しく書かれていた。

21世紀文化プロジェクトとして国を挙げてモダン建築を認めさせようと、高校の教育プログラムから立ち上げ、国民的エネルギーを文化に注ぎ込むフランスの文化力には凄いものがある。
昨年、コルビュジェの近代建築、日本では上野西洋美術館がユネスコの世界文化遺産の登録が残念ながら見送られたが、これも時間の問題であると思う。

日本も21世紀の文化戦略として、『 教育・文化としての建築』を世界文化遺産好きのもっとたくさんの日本人に分かってもらう必要性を感じる。

#先回プログでお知らせしたグランカスカダのTVコマーシャル撮影の件
滝が美しく見える玄関ホールがお茶を飲むスペースとしては少し狭いということで、ティーカップがスポンサーの今回の撮影には向かないのでパス。


| u1arc | コルビュジェ | 17:01 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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