バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
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やはりそれでもガウディのサグラダファミリアは完成を望む
 バルセロナの街路のイルミネーションの飾り付けが終わり、もうすぐNavidad=クリスマスがやってくる。今年は三角、四角、六角の幾何学的なLEDの飾りつけが目立つ。

サグラダ・ファミリアが聖別され初めてのNavidadを迎えるが、21世紀のカトリックバシリカ大聖堂としてどのようなセレモニーになるのか楽しみである。

やはりガウディが一生涯をかけて打ち込んだサグラダファミリアが、バシリカ大聖堂としてローマ法王による献堂式を行うことができたのは一番望んでいたことであると思う。
ガウディはサグラダ・ファミリアを請け負う際に『たった一人の人間を3世紀もの建設に従わせるとは何と壮大な企てであることか!」と弟子達に言ったという。
最初から自分の生きている間には完成しないことは承知の上で建設を進めていったのである。
当時は宗教的建造物の為に2代目教会専任建築家としてほぼ強制されていたゴシック様式で始めたが、『ゴシックは形式の芸術だ。私の目的はそれらのスタイルを改善することだ。』とゴシック様式を産業革命後の近代に進化&発展させることが自分の建築家としての使命であるという高い志を持っていたと考えられる。
それは、バルセロナ建築学校を卒業した年(1878)に書き始められ、一年がかりで大学ノートに60ページわたり鉛筆書きで書かれたガウディの建築論『装飾に関する覚書(レウス覚書)』、以来死ぬまで持ち続けたものである。(この覚え書きに関してはセザール・マルティネイもヴィオレ=ル=デュクの建築講話による所が多いと書いているが、日本人研究者では鳥居徳敏氏による素晴らしい研究がある。)

ガウディは聖堂は建築の中でももっとも崇高なものであり、壮大でなければならないと考えていたので、当時世界一の高さを誇っていたケルンの大聖堂よりも高い170mの大聖堂をバルセロナに創ろうとしたように思える。そして、自分のしっかりとした建築思想を持っている限り、建築様式の混在を恐れる必要はなく、自分亡き後も次世代の建築家達が継承しながら完成させていけばいいという考えで、サグラダ・ファミリアの建設を続けていたのである。

スペインに現在残っているゴシックの大聖堂はロマネスク期から各エポックで再生&改築を繰り返しながら1000年以上の歴史を経てゴシック建築様式という統一の中にも多様性がある。それが聖堂に活気と豊かさを与えているとガウディは主張したという。

だから、サグラダ・ファミリアは世界一の高さを誇る大聖堂になるまで建設を続け完成させなければならないのである。
完成されてこの部分はガウディが生前に創った石造建築、この部分はガウディ死後の石造建築、この部分はバルセロナオリンピックが決まってから造った鉄筋コンクリートの部分。

というようにそれぞれの建設方法の違いが統合され、その多様性がガウディが望む活気と豊かさを持ったサグラダ・ファミリアの建築を生み出したとして、完成した暁にはサグラダ・ファミリア全体の建築が世界遺産として登録されるに違いない。

まさに『継続は力なり』である。そのガウディの意志を継ぎバシリカ大聖堂として成就させたサグラダ・ファミリア建設委員会にこれまでの功績を讃えたい。

建築作品として実現するかしないかはともかく、建築家にとっては若い時に受けた建築思想こそが将来の自分の作品の良し悪しを決めるといっても過言ではないと思う。


| u1arc | ガウディ | 02:49 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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