バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
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続続UCANDONOに会いたくて

 

UCANDONOの下にはアールデコ風に白と黒の大理石に縁取られたニッチの中に、ポリクロミー(多彩色)のモザイクタイルでルネサンス様式のニッチが描かれ、さらにアールヌーボーのミュシャ風の天使が羽を広げ雲の上に乗っている美しい姿がある。



聖窟入口、向かって左側にはイエズス会創設当時からのメンバーがいる。
騎士の姿でひざまずいているのがフランシスコ・ザビエルで、足元に王冠と地球を足元に置いて、修道服姿の中央に立っているのがフランシスコ・ボルハである。

モザイクの石の説明書きを読んでいると教会の人と思われる年配の人が、これからミサが行われると知らせにきてくれた。 「そうか、今日はマリヤ様御懐妊の日=immaculada concepcionの祭日だったな。でも自分はカトリック信者で今日ここに来たのでもないし、どうしようかな』と思っていると、「カタラン語解るか?」とさらに突っ込まれたので、「解ります。このモザイク画に日本の聖人がいますね。」とスペイン語で答えると、「そうか。君は日本人か。」と言われ、親愛の情を込めて左の上腕をギュッと握られる。
祭壇ではすでに司祭のミサが始まっていたので教会から出て行くこともできず、そのまま信者の中に混じり聞くことにする。



ミサが進んでいくと、前に座っていたおじさんが急に床に平伏し祈りの言葉を唱え始める。
司祭の祈りの言葉が抑揚を付けてパイプオルガンの音と融合し音楽的に聞こえてくる。
キリスト教信者でない私も、教会の空間と一体化して忘我の境地へと達する。
ボーとしてきて、ああ、これがイグナシオ ロヨラの『霊操』体験なのかなあという気がした。

ミサの最後で、周りに座っていたみも知らぬ人たちと握手を交わす。
ああ、これがキリストの隣人愛なんだあと納得する。
ああ、これがあるから、欧米ではしっかりとした市民のコミュニティが作れるのだなと実感した。

一日キリスト教宗教体験で教会建築の重要性とヨーロッパ市民のコミュニティが解った気がした。

この聖窟教会にとって、この12月8日の『聖母受胎の日』がとても重要なことが後で調べて解った。
スペインではこの行事を1644年から行っていたとのことであるが、1854年にバチカンのローマ法王より宗教原理として決定された。それでその50年後1904年に合わせてこの聖堂窟教会の改築がポリクロミー(多彩色)で行われることになったそうである。今年は2010年であるので156年後となる。



  •  これは今年の正月のブログで紹介した髑髏を両手で抱いているフランシスコ・ボルハの像

「フランシスコ・ボルハの像。スペイン国王カルロス祇し鷽誓札蹇璽淞觜颯ール浩い梁Χ瓩箸靴道鼎─▲タルーニャの副王になるが、1546年に妻が亡くな ると新たに組織されたイエズス会に入会を決める。1565年に第3代イエズス会総長になり、宣教師を育成するローマのグレゴリアン大学を創設する。イエズ ス会第2の創設者と言われ1671年に列聖されている。」
と書いている。

その時は気が付かなかったのであるが、このボルハはイタリア語でボルジアとなる。あのチェーザレ・ボルジアで『ボルジア家の毒薬=カンタレラ』であった。もともとボルジア家はスペイン、アラゴン王家の貴族で、ローマ法王を2人輩出するというバレンシアの名門である。フランシスコ・ボルハの祖父、フアン・デ・ボルジアは、1才年下の弟チェーザレの指図でローマで暗殺されたとされる。その疑いでバレンシア司教、枢機卿の地位を返上した。また、レオナルド・ダ・ヴィンチはチェーザレの建築技術監督兼軍事顧問として8ヶ月新兵器、城のデザインをしていたという。
バレンシアカテドラルにも繋がり、正にイタリアのルネサンス文化は共時的にスペインの文化であったことが解る。

またまた思わぬ所でイタリアルネサンスとスペインのボルハ家が密接に繋がっていることを発見してしまった。このことは、今年ベネディクト16世を名乗るローマ法王がサグラダファミリアを献堂したことにも関係があるに違いない。

このように『通時的に詳しく見ていくと未来が見えてくる。』と思えたのは今年の収穫であった。


| u1arc | 建築文化遺産 | 10:29 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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