バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
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バルセロナの中心にあるアートギャラリーアラゴン232での書展
バルセロナの街はどんどん拡張していっているが、現在の中心はどこかと考えてみると、縦軸のパセオ・デ・グラシア大通りと横軸のアラゴン通りの交点ではないかと思われる。

そこは150年ほど前のセルダの格子状の新市街区(アンシャプラ)に、まるで黄金のりんご(cuadra=manzana de Oro) の如く実ったモデルニスモ建築の宝庫である。

ガウディのカサ・バトリョとプッチ・カダファルクのカサ・アマテリェール、それに現在タピエス美術館に改修されたドメネク・モンタネールの元MONTANER I SIMON出版社がある。モデルニスモ建築の三大巨匠の初期の建築が建っている。



ドメニク・モンタネールの世界遺産になっているサンパウ病院,パラウ・デ・ラ・ムシカに比べてあまり有名でないが、1879−1886の最初のモデルニズモ建築として重要である。
ファサードはアラブ風のレンが積のムデハール様式であるが、構造は鋳鉄の細い円柱とI字鋼の梁を使った鉄骨構造の近代建築になっており、この時期エンサンチェと呼ばれるバルセロナの格子状の街区に建てられた建物は、この近代建築工法を見習って造られている。I字鋼の梁の間には、厚さ4cmの薄いレンガでボールト状にしてそこにモルタルを流して床を造るカタランボールト工法が取られている。ガウディの初期の作品であるカサ・ビセンスは、大学の先生であったモンタネールのこの建物の影響を受け、ムデハール様式との折衷主義によりデザインされていると同時に、カタルーニャ・ボールトという薄いレンガをボールト状に積上げ、そのまま型枠として使う合理的な建設工法も取り入れてたのである。

バルセロナのモデルニズモ建築の原点とも呼べると思う。

ここが、バルセロナ出身のモダンアートの巨匠、アントニオ・タピエスの美術館となり、最近また改築されバージョンアップされオープンしたところである。



タピエスは日本の書にも通じるモダンアートの作品を創っているが、昨日その斜め前にあるアート・ギャラリー、aragon232で、日本の女流書道家、山本魁星さんの書展のオープニングがあった。(財団法人日本スペイン協会共催)

バルセロナの格子状の街並みの如く展示された92枚の色紙。
一枚一枚漢字一文字に書家の想いがこもっていて抽象画のようである。



18枚目の真中の『命』という字を書いていた時に魁星さんのお母様が倒れたとのことで、その想いがこの『命』の文字に込められていると本人自身から伺った。



幸福の福には今年の干支ウサギさんがいる。
この上の2枚の写真、右下にある字が最後まで読めなかった。
皆さんは読めますか?

上は『挑』と教えてもらったが、下は今でも分からない。

#魁星さん本人から連絡があり、書いた中での唯一の草書体『知』であることが解った。
知らないことを知ることは楽しい。
無知の知である。




メッシ、ピケ、プジョール、イニエスタ、ビジャ等バルサのメンバーの名前を平仮名で書かれてあり、その中心にはバルサカラーのボールが描かれたものを用意し、蹴の字を書のパフォーマンスで書き込み、蹴球=フッボール=サッカーが完成した。
この字の意味を説明すると、
!!!GO・O・OL!!!
とバルセロナっ子達から歓声が上がった。
日本の書がスペイン人に受け入られた瞬間である。
早速、この書をカンプ・ノウのバルサ博物館に寄贈したらという提案があった。



魁星さんによる書のパフォーマンス。『ありがとう Gracias』



アートギャラリー、aragon232のキュレーター マリアさん。彼女はポルトガルのポルト出身で大学ではモダンアートを専攻し、日本文化にも造詣が深い。安土桃山以来の文化交流があるので書は感性的に分かるらしく、テレビのインタビューにも答えていた。



バルセロナでの書展&パフォーマンスで成功を収めた山本魁星さん。
日本の文化、書を通じてバルセロナの人たちと良い交流ができた。

この書展で漢字一つで様々なイメージを表現できる書とパフォーマンスを通じての異文化との交流の素晴らしさを楽しんだ。

岡倉天心が西欧に対抗して提唱したように、『書』は絵画、彫刻同様、日本の文化、芸術であること再認識した。

| u1arc | バルセロナの街 | 10:27 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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