バルセロナ建築漫遊記

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ついに完成!バイス三兄弟セルフビルドプロジェクト 31   『この建築を造ったことを誇りに思う。』

 とにかく激動の年で大変であったが今年も残すところ2日を切った。

地震、津波、原発のとてつもない日本の大災害。
ジャスミン革命と呼ばれカダフィら独裁者が市民により殺され、次々と追放されたアラブの春。
スペインのマドリッドの中心プエルタ・デ・ソルで始まった”indignados"=怒る市民たちがバルセロナのカタルーニャ広場にも広がり、この動きがニューヨーク、日本の反原発運動にまで世界中に拡大。
ギリシアの財政破綻から始まったユーロの危機。

このヨーロッパの危機的状況でスペイン大不況の中、バイス三兄弟プロジェクトの工事継続が危ぶまれていたが、ついに完成した!

建築確認=VISADOが承認され、建築許可が出たのが2006年9月4日。
建築工事開始が8日後の9月12日。
それから2回の建築許可の更新を経て、6年後の丁度一ヶ月前の11月30日に工事完了届=Final de obraとなった。



迷った末、最後には屋根をZINCの黒して一段と締まった外観となる。


サロン部分には、手水鉢の泉をデザインしチョコッと和風にする。
玄関の扉を開けると5m天井の高いボールトで和風の坪庭を透かし、
プール、遠景には松林が広がるという奥行きのある空間となっている。

バイス三兄弟のブログは今回で31回目となり、読み返してみると皆で『建築を創る!』という熱い想いが伝わってくる良い記録となっていると思う。




玄関入口アプローチ部分。


左は勝手口。右の扉はプールのある庭に繋がる。



先日4ヶ月ぶりに降った雨で、陸屋根の各ガーゴイル=雨樋口から円形の鉄枠に敷いてあるコレクターの大理石の玉石に滝の如く雨水が落ち、ろ過されプールサイドの地下に作られた雨水貯水槽3x5x3m=45m3に蓄えられ、ほぼ満杯になった。

7X14mの自慢の曲面大屋根からも樋はあえて付けないで雨水を直接テラスに落とし、その下の玉石の部分がコレクターとなっている。
この建築は雨水利用のエコシステムの性能が優れていることも実証できた。



右が三兄弟、次男ホセ。右はパパ。

『この建築を造ったことを誇りに思う。』とバイス三兄弟のパパは言った。
この写真からも誇りと自信がうかがえる。
この大不況をものともせず、6年の長い時間諦めないでセルフビルドでコツコツと完成することができたのは、この建築にかける想いであったのだ。
本当にこの建築をデザインし、限られた予算の中で一緒に現場で考えながら、その都度彼等にもできる合理的建築方法を見つけ出して、フィードバックを繰り返しながら、らせん状に登りつめてきたという感覚である。

スローな建築であったが、今までの住宅にはないモダンでオリジナルな美しいフォルムの建築に仕上がったことに大変満足している。
彼等は今の建設のプロ以上のものをこの建築と共に学んできている。
本当の建築を創っていくには時間がかかるのが体で解っているのは、ガウディの生地、ローマ建築を造ってきたタラゴナ人の伝統=建築のDNAとも呼べるものなのであろうか。

『建築の合理性とは、建築形態がその機能を満たす要求と建設手段の合理性を追求した結果によるもので、それが真実のフォルムであり、独創性=建築芸術となるのである。』
今、現在のそれぞれの建築環境、条件の中で徹底的に合理性を追求したものだけが真のフォルムを持つという、19世紀の建築理論家ヴィオレ=ル=デュクの教えである。
このことが建築=arquitecturaの原点で、これからの新しい建築芸術を創り上げるということが確認できた。

スペインで真の建築を追って25年、やっとここまでくることができた。
まだまだ建築の普遍性を探求する道は長い。始まったばかりだ。
これからに期待しよう。

それでは良いお年を!

| u1arc | バイスの三兄弟セルフビルトプロジェクト  | 13:32 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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