バルセロナ建築漫遊記・未来へ

バルセロナから未来への気ままな発信です。
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新国立競技場問題は戦後一番の建築事件だ!
しばらくご無沙汰していました。
2013年1月13日以来ですので、2年半もご無沙汰してしまいました。
この間何をしていたのかというと、正直に言いますとFBに嵌っていたのです。
なんで嵌ってしまったのかを考えてみると、まったく知らなかった人たちとの意見共有の同時性の魅力が一番だと思います。

その最たるテーマが神宮外苑に建設予定の新国立競技場問題です。

もう2年前になりますが、安藤忠雄氏が審査委員長となる新国立競技設計コンペが実施され、流線型のまるで自転車のヘルメットの様な屋根を乗せたザハ案が『躍動感がありスポーツ施設に相応しい』という理由で選出されました。
選ばれる前から敷地近くにある都体育館を設計した槇文彦氏が、そのボリュームと高さにスケールアウトしていると異議を申し立ててきました。
この2年近くの間、この問題に関してFB友たちの間でリアルタイムで熱く議論を重ねてきました。そのことによって、問題の深い所まで認識し共有することができ、ソーシャルメディアの有効性を実感した訳です。その結果、今回の設計コンペは外苑の周辺を高層化しその不動産利権の為に使われたカモフラージュだったことが濃厚となった訳です。それを推進したのが石原元都知事と森元首相で現五輪組織委員長で、彼らが文科省でTOTOのサッカークジで自由な金を使える立場にあるJSCの河野委員長を使って推進していることが明らかになりました。

建築の問題だけにとらわれずに市民レベルの反対運動にまで発展し社会問題化となったのです。
しかし、私たちの問題点を指摘し大反対があったにもかかわらず、当事者の方々は一切聞く耳を持たず, 頑なに『この道しかない』と『粛々と』ザハの案でこの2年近く強引に進めて行きました。
その間に伊東豊雄氏からの国立競技場の素晴らしい改修案がでましたが、彼らは『外野は黙っていろ』という傲慢な態度で栄光の64年東京オリンピックの国立競技場を破壊してしまいました。
ところが、今になって『躍動感がありスポーツ施設に相応しい』という理由でザハの案で突き進んでいたのにもかかわらず、工期と建設会社との見積もりが合わないので、この流線型の屋根はオリンピック終了後になるということが明らかになりました。
これは明らかに『外野』といわれた私たちFB友達の勝利です。
ここまで来ると新国立競技場問題は戦後70年、建築界の一番の事件ということになります。

 
| U1 | 建築文化遺産 | 19:06 | comments(2) | trackbacks(0) | -
法政大学建築学科OB会の広報担当理事本間です。Blog読ませていただきました。バルセロナにお住まいですか?今回の新国立競技場騒動、海外の建築専門家はどのように評価されているか教えてください。環境問題と再生可能エネルギーの可能性について関心があります、今後とも情報交換をお願いします。
| Masaaki Homma | 2015/06/07 3:56 PM |

コメントありがとうございます。
ご存じのように、バルセロナは建築文化財の再生にとても力を入れています。
その象徴的建築が、エンリック・ソリアが担当したボルン市場の再生計画です。
最初は地域の図書館で計画を進めていたのが、工事を進めて行くと地下から中世の遺跡が発掘されたので、それを生かす形でバルセロナ歴史博物館としてその遺跡そのものを見せるように計画が変更され、10年以上の時間をかけて昨年オープンしたところです。
このように歴史的建造物を遺産として重要視し残そうとしますので、今回のザハの新国立競技場プロジェクトは暴挙そのものとして捉えています。
やはり建築へのこだわり方が日本とは異なって市民のレベルで大変強く、建築家もその期待に添うように建築を文化財として再生しようとする気持ちが生まれます。
| ユーイチ | 2015/06/11 8:07 AM |










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