この水曜日、休みを取って、アーモンドの花が満開の早春のエブロ川へ行ってきた。
バルセロナから地中海沿いに西南へ約200キロの所にエブロ川のデルタ地帯がある。そこから川は始まり、北へサラゴサ、トゥデラ、パンプローナとイベリア半島を縦断している。このところカタルーニャは雨が降らず、貯水量が20%となりこのままだと4月から給水制限をしなくてはならない状況でも、このように滔々と川は流れている。写真をよく見ると、左の木に水藻の干からびたようなのがぶら下がっているが、水の多い時にはあそこまで水位は上がるのだろう。ここから200キロ上流のサラゴサでは、今年この水をテーマにした万博が開催される。今回の旅はこの川の向こうに見えるMiravet城を見ることが目的であった。8世紀にはイスラム勢力のエブロ川の水運を管理する重要な拠点として最初に城が築かれ、12世紀にはテンプル騎士団の城として知られている。ハイメ1世率いるレコンキスタ軍は、このカタルーニャ最西端の城を拠点としてバレンシアまで攻め入ったのである。
川幅も広く、水量の多いエブロ川では、車は今でも小さな船に乗せて対岸へ渡る。川からの城の眺めもよく、ゆったりとして観光気分満喫である。
断崖の岩の上に建てられた城。この部分川幅が広く、水平の川と垂直に伸びる城のコントラストの風景が美しい。
城の中庭の部分。正面はテンプル騎士団の時に作られた12世紀、ロマネスクの礼拝堂。石は柔らかい砂岩で出来ているので壁の侵食が進んでいるが、外壁の厚みは2mと分厚く積まれている。
礼拝堂内部。シンプルな半円ドーム。東の祭壇奥には、アラバストロ(石花石膏)の窓が中心から少し外してあり、堂内に柔らかい自然光を導きいれている。
屋上へ繋がる50cm幅の狭い廻り階段。階段は少し固めの石灰岩でできているが、写真のように長い年月で溶けたように磨り減っている。
屋上からのエブロ川の流れ。遠くまで見渡せ、見張りの城としての機能とすぐ真下を行き来する船を管理する機能を併せ持つ重要な城であったことが分かる。
ここから30キロ程下ると、地中海に繋がるエブロ川の河口になる。
そこには巨大デルタ地帯が広がり、エブロ米の田んぼが広がっている。ここでは日本種米『ひとめぼれ』も高級米として作られていて、スペイン米の5倍の値段でバルセロナの日本食材店で売られているが、白いご飯はこの米が旨い。昼食は、このデルタの浜のレストランで食べることにした。
この10年ほど通っているが、ここのガンバ(ボタン海老)の塩焼きと一年中食べられる生がきはいつ来ても新鮮でおいしい。やっぱりここに来て良かったと思える瞬間である。