バルセロナ建築漫遊記

バルセロナからの気ままな発信です。
コルビュジェのマルセイユの住居単位はモデュロール寸法の原点
 

これがコルビュジェのマルセイユの『住居単位』モデュロール(黄金尺)寸法の原点である。
(昨年の今頃撮影)

コルビュジェ特製、腕を上げた人体と黄金比=0.618で9分割した身長の赤系列との腕を上げた時の青系列の尺度を表現したもので、特別にステンドグラスにしてデザインしたものである。



腕を上げた人間の高さを226cmを基準とした正方形の透明ガラス窓に、一辺が53.4cmの正方形の『モデゥロール(黄金尺)』のイコンが嵌め込んである。



まるで聖櫃の如く据えられたモデュロールの礎石(183x86x86)
最初の計画ではガラス窓の原点の前に据えられる事になっていたが、現在の右側になった。
この8mx13mのコンクリート壁に、モデュロールのコンセプトがデザインされている。

エレベーター塔の中心軸に『住居単位(L'Unite D'Habitation)』の原点として、コルビュジェがこの位置に決めた。エレベーター塔の梁を外壁まで突き出し、その中心線の垂直線と人間の基準寸法を183cmとした水平線の交点を原点としている。
もう一つ重要な寸法はへその高さで183cmを黄金比=0.618をかけて導き出された113cmとなる。
手を上げた人の高さは226cmは臍の高さ=113cmの2倍となる。
つまりこのガラス窓は臍の高さの正方形113x113を4枚使ってできたものである。

まるで中学校の幾何学と数学の問題を解いているみたいな建物のデザイン。

これが幾何学と代数学に基づいている西欧の建築=アーキテクチャーの原理なのであった。
ルネサンスの万能人といわれる建築家のほとんどは数学者であったのはこのことから来ている。
この数学的尺度が美しいプロポーションを生み出し、統一と調和の取れた空間を生み出すという考え方である。

特にパルテノン神殿に代表されるギリシア建築は厳密な幾何学・数学的体系によって導き出されているので、コルビュジェはそのアクロポリスの神殿廃墟を見て『機械のように美しい建築』と感動したと建築家になる前の東方旅行(1907)に書き綴っている。

それから40年の時を経て『モデュロール』としてコルビュジェの『モダン建築の設計方法論』として確立したのである。

『モデュロール』の正式のタイトルは『建築及び機械のすべてに利用し得る調和した尺度についての小論』となっていて、ギリシア・ローマ=>ロマネスク・ゴシック=>ルネサンスと歴史的建築を深い所から分析し、機械の時代の近代にも合うように『レ・インタープレット(Re-interpretacion)』したものだったのである。

コルビュジェはこのマルセイユの『住居単位』の事を『これは中世から今日へ掛けられた橋である。』と書いている。

しかし、その建設に1946年から52年まで6年の年月がかかり、彼の考えた『モデュロールの建築理論』でこの建築を実現化するのはまるで戦争のようであったという。その道を阻んだのが、以外にもコルビュジェの新しい理論を理解しようとしない同業の建築家とその組織者であった。

今では偉大な建築家と奉られているコルビュジェも、当時は建築家を職業とする大多数を敵にまわし独り頑張ったようである。
日本で考えられている『モダニズム建築』のイメージ=コンクリートの四角い箱とは程遠いものなのである。

それだけのコルビュジェのパワーをもってできた『マルセイユの住居単位』は、近代化社会においてユニテ=統一と調和をフランス国歌(ラ・マルセイエーズ)の如く謳い上げている偉大な建築詩=歴史的建造物であると思う。

やはりガウディとコルビュジェの建築パワー=建築を建ち上げる意志はズバ抜けている。







| u1arc | コルビュジェ | 12:09 | comments(0) | trackbacks(1) | -
可動ルーバー=ジャルジー窓のダブルスキンはイギリス正統温室建築の名残
先回のプログでは2つの砲弾型の建築、ロンドンCityにあるフォスターのSwiss ReとバルセロナにあるヌーベルのTorre Agbar紹介し,その好みまで聞いてしまったが、私としてはパワフルセクシーの感じのするヌーベルの建築が好みである。

遠目は同じ形の砲弾型なのに建築的には全く異質なものである。
フォスターのは鉄骨構造でハイテック・メカニックな閉鎖系カーテンウォールに対して、ヌーベルのは構造は現場打ちの鉄筋コンクリートで、その外側を可動ルーバー=ジャルジー窓の開放系ダブルスキンで覆われている。

この建築デザインの違いがヌーベルのパワフルセクシーに由来しているのではと考えた。
メカニックな機械=人工ロケットに対して自然と共生する有機体=建築ほどのコンセプトの違いが両者の間にはある。

150年前の水晶宮のハイテック進化系建築(active)がフォスターで、伝統的な建築芸術を踏まえたラスキンのゴシックリバイバル(ガウディを含めた)進化系建築(passive)がヌーベルの系統があるように思える。





ロンドン、CityにあるフォスターのSwiss Re

正三角形のカーテンウォールで覆われた閉鎖系ダブルスキン。
三角形の鉄骨構造に白いカバーし、ハイテックに過剰すぎるほどのデテールがされている。





外側はロウテックな手動可動ルーバー=ジャルジー窓で覆われた開放系ダブルスキン。
LEDの照明が無造作に付いている。
カラー波型アルミパネルの内側は50cm厚の分厚い現場打ち鉄筋コンクリート。



これは先々回紹介したスターリングのレスター大学

構造は打ち放しのコンクリート。50年ほど経っているが、安藤忠雄のように化粧打ち放しコンクリートにはない、力強いコンクリートの素材感がある。外壁は赤レンガ積みで、窓は水平にアルミサッシで平行に切ってあり、レンが壁の持つ重量感を軽減している。このアルミサッシ窓はよく見るとダブルスキンで、下側には可動ルーバー=ジャルジー窓で室内外の気温をコントロールしている。温室がルーツのモダン建築の名残のようである。



この建築は今回のイギリス旅行で一番会いたかったスターリングの傑作ケンブリッジ大学歴史学部の建物。レスター大学の直後1964~7年に建てられた。
ケンブリッジでは中心部に車を停めることができず、街を10回ほどグルグル回った末にようやくたどり着く事ができた。













温室で暖められた空気をこの可動ルーバー=ジャルジー窓で外に逃がすようになっている。
ガラスのダブルスキン+可動ルーバー窓+ブラインドを建築デザイン的に取り入れた温室パッシブソーラーシステムのエコ建築である。
外部のガラスの汚れを掃除する為のアルミ製の梯子も建築化している。
赤レンガ積の壁と透明ガラスのアルミカーテンウォールの材質のコントラストで見事にデザインされ、それがますますこの建築に透明感を与えている。

レスターとケンブリッジこの二つのスターリングの大学の建築は、イギリス正統のポストモダン建築、仕上げは貼りものでない切石積みの本物(real)のシュトゥットガルトの『国立美術館』へと繋がって行く。

| u1arc | イギリスモダン建築 | 15:33 | comments(0) | trackbacks(0) | -
『katsura=桂』今週末にはドイツに旅立ち

こんなに愛されているKatsura=桂を見ると嬉しくなる。



昨日は桂の飼主になったドイツ人建築家のトーマスさん達の誘いを受け、バルセロナから北へ100キロ程のロサス(Rosas)の街までファミリー(今イギリスから帰ってきている息子フウと桂のママ=ラン 3人+1匹)で行ってきた。

トーマスさんはこのリーゾート・マンションを持っていて、春休みと夏休みのバカンス合わせて1ヶ月、気候のあまり良くないドイツからこのように気候の良いスペインへ移動する。この街はアンプリアス・ブラバと言って運河のあるヨットハーバー付きの高級リゾートである。彼も10mのヨットを持っているが、今回のバカンスはKatsura=桂のおかげで幌を被せたまま泊めてあるとベランダから教えてくれた。

フランス国境まですぐで、この街はヨット、クルーザーを持つお金持ちの外国人が多く暮らしている。この山の向こうにはダリのポ−ト・リガのアトリエ『卵の家』がある。すぐ近くにはアンプリアスのギリシアの遺跡もあり、92年のバルセロナオリンピックでは聖火がこの浜辺に上陸した。ロサスの名前も、ギリシアのロードス島から来ているらしい。





2週間ぶりにあったランママにBeso(キス)をしているKatsura。





綺麗にお座りしている。



近くに住んでいるhermana(姉妹)のYuri。なかなかのお転婆で大人しいKatsuraは下にされていつも防戦の一方。





綺麗な顔の茶スポット。ここまで綺麗な茶スポットは珍しい。どこかノーブル。



今日一日Yuriとの戦いでぐったりと飼主の腕の中に眠る。飼主の腕には桂の無数の引っかき傷と噛み傷が見られた。
毎朝この浜辺を散歩させているが、茶色のスポットが珍しいと人気者らしい。

こんなに愛されているKatsura=桂を見ると嬉しくなる。

彼等は今週末にはドイツに旅立つ。
彼の設計したアトリエ兼住宅は庭から森に繋がっている素晴らしい環境らしい。

生後9ヵ月になる来年春のイースターにはまたここに桂を連れて来るとの約束をした。
大きくなった桂を連れ戻ってくる彼等との再会が今から楽しみである。


| u1arc | - | 19:34 | comments(0) | trackbacks(0) | -
フォスターswiss REとヌーベルtorreagbar の砲弾ビル






2つの砲丸型のビルがある。
上はロンドン シティにあるノーマン・フォスター設計によるswiss RE。
下はバルセロナに立っているジャン・ヌーベル設計によるtorreagbar。
同じ砲丸型でも全く受ける印象が違う。
フォスターの方はツルツル・ピカピカのハイテックな感じ。
ヌーベルの方は鱗の様なヌメリがセクシーな感じ。
あなたはどちらが好みですか?
| u1arc | - | 09:42 | comments(0) | trackbacks(0) | -
ロンドン 過去と現代のカテドラル=モダンアート美術館の架橋  ミレニアムブリッジ


 

テートギャラリ−のモネの睡蓮の絵がある間の窓から見た美しいミレニアムブリッジ。ローマのサン・ピエトロ寺院のドームを思わせるイギリスのルネサンス建築家クリストファー・レン(Christopher・Wren)によるセント・ポール カテドラル(St. Paul's  Cathedral)に繋がっている。

レンは外科医、数学者、天文学者、都市計画家、イギリス王室建築家とイギリスルネサンスの万能人であったが、特にニュートンも認めるほどの幾何学の大家であったらしい。建築家としては後期ルネサンスのイタリア、バロック建築家ベルニーニ、ドームはフランスのマンサールの影響が見られるとのことであるが、やはり幾何学が建築の原理としたルネサンスの万能人、アルベルティに近づこうとしたように思える。
こちら南面ファサードは正面入口ではなく建物側面にもかかわらず、建築全体のプロポーション、バランスがよい。以前のラテン十字プランのゴシック様式で計画していたらこのように美しいプロポーションにはなっていなかったように思える。
これはレンが承認されなかった最初のギリシア十字プランにこだわったのは、彼がルネサンス建築家としての信念をもっていたからであろう。

テートギャラリーは元火力発電所であった建築を再生プロジェクトの設計コンペでスイスの建築家ヘルツォク&ムーロンが選ばれ,ロンドンミレニアム2000年に合わせてオープンした。
このミレニアムブリッジはルネサンス様式のセント・ポール カテドラルと現代のカテドラル=モダンアート美術館を結ぶ架け橋の如く計画された。デザイン設計はノーマン・フォスターで構造はオヴ・アラップ社。テムズ川を挟んで向かい合うこの二つの過去と現在のカテドラルを橋桁を低く抑えた2000年の架橋と呼ぶにふさわしいハイテック・ポストモダンな吊橋のデザインとした。

しかし、オープン早々、吊橋特有の歩行振動の共振の揺れで閉鎖されていた。
デザイン優先しすぎたとしてフォスターは非難を受けたが、橋の下に制震ダンパーを付け解決する事ができ、
「臆病と言われるより、大胆なデザインで非難される方がいい。」
とフォスターはイギリスの建築家としての信念を語った。
さすがLord(侯爵)の称号を持つ大建築家の言う事は違う。

過去と現在のカテドラル建築を結ぶ架橋は、フォスター&オヴ・アラップの想定超えるほど揺れが激しかったらしい。







セントポールカテドラルの中央ドームに合わせ、立ち上がりを低く抑えた
吊橋のワイヤー。



中央に巨大な煙突がシンボリックに立つ、元火力発電所を再生したモダンアート美術館



吊ワイヤーのジョイント部分。向こうにはシティにあるフォスターの
弾丸ビルを望む。





TATEギャラリー大ホールへのエントランス



火力発電所のタービンがあったところの大空間をエントランスホール
としている。



コンテンポラリーアート年表
1950年代後半から60年代に起こったポップアート、ネオダダが大きく
扱われている。
日本では荒川修作、赤瀬川原平が日本のネオダダとして登場した。
コンテンポラリ−アートもイギリスでは芸術史になっている。



| u1arc | 建築文化遺産 | 10:41 | comments(0) | trackbacks(0) | -
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